Nays2DVマニュアル・事例集のページへようこそ!

はじめに
Nays2DVは河川、湖、海域など自由水面を持つ3次元空間内の流れと、温度、密度、物質濃度などの時間空間的変化を計算する ソルバである。 本マニュアルは実際にNays2dvをiRIC上で操作する手順を追って解説したものである。 このマニュアルでは、すでにPC上にiRICおよびNays2dvがインストールされていることを前提としている。 なお、本マニュアルはもともと(株)エコーのDr. Chamila Niroshinie氏作成の英語版マニュアル https://i-ric.org/yasu/Nays2dv_v4/index.html を日本語化する作業から始めたものである。 英語版には本マニュアルとは異なった計算例も記載されいるので、併せて閲覧頂きたい。

URL: http://i-ric.org/ Software: iRIC version 4.x or later


2021年2月11日 清水康行
概要
Nays2DVにおける主な操作手順は以下のとおりである、
Nays2DVの起動
iRIC上でのNays2DVの起動は以下の通りである。
iRICを起動し、以下の画面で[新しいプロジェクト(N)] をクリックする。

: Create new project_1
[ソルバーの選択] の画面 Fig. 2 で [Nays2dv簡単鉛直2次元モデル] をクリックし[OK]をクリックする.

: Create new project_2
タイトルバーに 無題-iRIC 4.x.x.xxxxと書かれた [Nays2dv 簡単鉛直2次元モデル] と書かれた画面( Fig. 3 )が現れ、 Nays2dvの使用準備が完了となる。

: Create new project_4
この後、下記の手順となるが、実際の操作方法は次章の計算事例集で説明する。
・格子の作成
・計算条件設定
・計算実行
・計算結果を表示
計算事例集
ここでは実際にNays2dvを用いた計算例を示す。
[計算例 1]長方形水槽における自由水面の振動
Nays2dvを使って閉鎖水域(長方形の水槽)の自由水面の挙動のシミュレーションを行う。 ここでは、長方形形状の水槽の水面にコサインカーブの初期擾乱を与えて、その振動の様子を 観察する。
ソルバの選択
iRICの起動画面から、[新しいプロジェクト]を選ぶと表示されるソルバの選択画面で、 [Nays2dv簡単鉛直2次元密度流モデル]を選んで[OK]ボタン押すと、

: ソルバーの選択
「無題- iRIC 3.x.xxxx [Nays2dv簡単鉛直2次元密度流モデル]」と書かれた Windowが現れる。

: 無題
計算格子の作成はNays2dv専用の格子生成ツールを用いる。Fig. 5 のウィンドウで、[格子]→[格子生成アルゴリズムの選択]から現れる、 「格子生成アルゴリズムの選択」ウィンドウ で[Nays2dv用格子生成ツール]を選んで[OK]を押す。

: 格子生成アルゴリズムの選択
計算格子の作成

:格子生成(計算領域)形状
Fig. 7 の画面で、[グループ]で[河床形状]を選び。「縦断方向のセル数」を[41]、 「流下方向水路長(m)」を[10]、 「下流端の河床高(m)」を[-1]、「河床勾配」を[0]、 「河床形状」を[擾乱無し]とする。入力が終わったら「水面形」のグループへ 移動する。

:格子生成(計算領域)形状
Fig. 8 の画面で、「水面形の定義方法」を[平均水深を与えて擾乱を与える]、 「平均水深(m)」を[0.3]、「鉛直方向のノード数」を[21]、水面勾配」を[0]、 「水面擾乱」を [擾乱あり]、「水面擾乱形」を[コサインカーブ]、 「擾乱の波高(m)」を[0.1]、擾乱波数を[0.5]として、最後に[格子生成]ボタンを押す。

:確認(マッピング)
すると、Fig. 9 確認ウィンドウが現れるので、[はい(Y)]を押すと格子が生成され、 下図 Fig. 10 が表示される。

:格子生成完了
計算条件の設定
次に計算条件の設定を行う。メニューバーから「計算条件」→「設定」を選ぶと、 計算条件設定ウィンドウ Fig. 11 が表示される。

:計算パラメータ
密度流の計算ではないので「密度の計算」は[考慮しない]、「温度差による密度」も[考慮しない]、 「差分計算方法」の「流速の移流項」は[CIP法]とする。

:初期条件と境界条件
次に、「境界条件」 Fig. 12 に移る。閉鎖水路の水面振動なので、「上下流の境界条件」は [上下流閉鎖条件]を選び、「時間と繰り返し計算に関するパラメーター」に移動する。

:時間と繰り返し計算に関するパラメーター
「時間および繰り返し計算に関するパラメーター」 Fig. 13 図に示したようなパラメータを設定する。なお、 自由水面振動の計算なので、「自由水面の計算」は必ず[計算する]にしておく必要がある。
設定が終わったら[保存して閉じる]を押す。
計算の実行
Fig. 14 の画面で、メニューバーから[計算]→[実行]を選ぶと、Fig. 15 の画面が現れるので、「はい(Y)」を選んで、計算条件を保存しておく。保存はipro形式または、 プロジェクト形式を選択する。

:計算の実行(1)

:保存しますか?
保存が終了すると、Fig. 16 の画面が現れ、計算が始まる。

:計算実行中
計算が終了すると、Fig. 17 の画面が現るの[OK]を押す。

:計算終了
計算結果の表示
計算の終了後、Fig. 18 の画面で[計算結果]→[新しい可視化ウィンドウ(2D)を開く]を選ぶことによって、 可視化ウィンドウ Fig. 19 が現れる。

: 計算結果の表示(1)

: 計算結果の表示(2)
Fig. 19 が現れた段階で、 Fig. 20 に示す[アニメーション]→[開始/停止]を押すことにより 水面の振動アニメーションの開始と停止が可能となる。のアニメーションの開始と停止はツールバーの[開始/停止]ボタンからでも可能である。

: 動画の表示
このとき、マウスのセンターダイヤを回すことにより、拡大・縮小が可能となっている。
ベクトルの表示
オブジェクトブラウザーで、[ベクトル]を右クリックして、[プロパティ]をクリックすると、 「ベクトル設定」ウィンドウ Fig. 21 が現れる。

: ベクトルの設定
Fig. 21 の赤囲の部分の設定をして、[OK]をクリックする。 [アニメーション]→[開始/停止]ボタンで、 Fig. 22 のアニメーションが表示される。

: ベクトルのアニメーション
圧力の表示
オブジェクトブラウザーで、Fig. 23 [スカラー][Pressure]に☑チェックを付けて、 ここを右クリックして、[プロパティ]を選ぶと、 「コンター設定」ウィンドウ Fig. 24 が現れる。ここで、赤枠の設定をして[OK]を 押すと Fig. 25 が表示される。

: 圧力表示

: 圧力コンターの設定

: 圧力コンター設定終了
以下、ベクトルと同様にアニメーション表示も出来る。Fig. 26

: 圧力コンターと流速ベクトルのアニメーション
[計算例 2] 密度の異なる流体の混合
Nays2dvを用いて立方体の中の密度の異なる流体が混合する様子を計算する。
計算格子の作成
計算格子の作成はNays2dv専用の格子生成ツールを用いる。 Fig. 27 で[Nays3dv用格子生成ツール]を選択し。[OK]をクリックする。

: 格子生成アルゴリズムの選択
下図の Fig. 28 で赤囲いの部分を設定する。

: 格子生成: 計算領域
グループを「水面形」の変更し、下図 Fig. 29 で赤囲いの部分を設定し、格子生成をクリックすると、格子が生成される。 ( Fig. 30 )

: 格子生成: 初期水面形

: 格子生成の完了
下図 Fig. 31 で示すように、 オブジェクトブラウザーで、[格子]、[セルの属性]、 [初期濃度]にチェックを付けてから、マウス右ボタンで格子全体の半分くらいの範囲を指定して、右クリックして [値の指定][初期濃度]に「0.03」を指定する。

: 初期濃度の設定
下図 Fig. 32 のように、初期濃度を設定した部分の色が変わる。

: 初期濃度の設定終了
計算条件の設定
メニューバーから[計算条件]→[設定]を選ぶと「計算条件」入力用のウィンドウが表示される Fig. 33

: 計算条件:モデルパラメータ
「計算条件」ウィンドウ Fig. 33 の「計算パラメータ」は図の赤で囲った部分を設定する。 本計算は濃度差による密度流なので、「濃度差によ密度流」を[考慮する]に設定する。 差分方式は高精度の[CIP法]を選択する。

: 計算条件:境界条件
「計算条件」の「境界条件」は Fig. 34 のように設定する。 閉鎖水路なので「上下流の境界条件」は[上下流閉鎖境界]とする。

: 計算条件:時間および繰り返し計算パラメーター
「計算条件」の「時間および繰り返し計算パラメーター」は Fig. 35 のように設定する。 設定が終了したら[保存して終了]を押す。
計算の実行

:計算実行中の画面
[計算]→[実行]を指定すると、Fig. 36 のような画面が現れ計算が始まる。

:計算の終了
計算が終了すると、Fig. 37 のような表示がされるので[OK]をクリックする。
計算結果の表示
計算の終了後、[計算結果]→[新しい可視化ウィンドウ(2D)を開く]を選ぶことによって( Fig. 38)、 可視化ウィンドウが現れる( Fig. 38).

: 計算結果の表示(1)

: 計算結果の表示(2)
マウスのセンターダイヤを回すことにより、 拡大・縮小が可能となっている。
濃度コンターの表示
オブジェクトブラウザーで、[スカラー][Concentration]にチェックマークを入れ、右クリックで、[プロパティ]を 選ぶと、「スカラー設定」ウィンドウ Fig. 40 が現れる。

: スカラー設定
Fig. 40 のように、「自動」☑を外し、「最大値]を[0.03]に、 「最長値」を[0.00]に設定し、「表示設定」の「半透明」のチェックを外して[OK]を押す.
パーティクルの設定
オブジェクトブラウザーで、[パーティクル][流速]に☑を入れ、[パーティクル]を右クリックして、 「パーティクル設定」ウィンドウを表示させせる。その後、「任意のタイミングで生成」「編集」 「パーティクル」[タイムステップの追加]を選び[0sec]を指定する。 この後、「パーティクルの発生範囲」と「色」「サイズ」を調整して[OK]を押す。 (具体的手順は Fig. 41 を参照)

: パーティクルの設定
計算結果の表示およびアニメーション
「可視化ウィンドウ(3D)」 Fig. 42 でタイムバーをゼロに戻して、[アニメーション]→[開始/停止]で 計算結果をアニメーションで見ることが出来る。

: アニメーション

アニメーションはiRICメインウィンドウ左上にあるプレイボタン等で操作も可能である。Fig. 43

: アニメーション
[計算例 3] 密度の重い流体による下降流と混合
プールのような長方形の空間中央上部に周囲より密度の大きな流体が置かれた状態を初期条件として その後の流体および密度混の挙動をシミュレーションする。
計算格子の生成
計算格子の作成はNays2dv専用の格子生成ツールを用いる。 Fig. 44 で[Nay2dv用格子生成ツール]を選択し。[OK]をクリックする。

: 格子生成アルゴリズムの選択
下図の Fig. 45 で赤囲いの部分を設定すし、「グループ」「水面形」に移動する。

: 格子生成: 計算領域
下図 Fig. 46 で赤囲いの部分を設定し、[格子生成]をクリックすると Fig. 47 が現れ、「マッピングしますか?」と聞かれるので、[はい(Y)]を選択すると、格子生成が完了する。

: 格子生成: 縦断形の手動入力

: マッピング
初期濃度の設定
下の動画 Fig. 48 に示す要領で、オブジェクトブラザーで[格子][セルの属性][初期濃度] にチェックマークを入れ、対象領域の中央上部の長方形範囲を選んで、右クリック[値の編集]で「初期濃度」 を指定する。ここでは[0.03]を入力する。

: 初期濃度の設定
計算条件の設定
メニューバーから[計算条件]→[設定]を選ぶと「計算条件」入力用のウィンドウが表示される Fig. 49

: 計算パラメータ
「計算条件」ウィンドウ Fig. 49 の「モデルパラメータ」は図の赤で囲った部分を設定する。 本計算は濃度の違いによる密度流なので、「濃度差による密度」を[考慮する]に設定する。

: 境界条件
「計算条件」の「境界条件」は、長方形の閉鎖水域を対象としているので、 Fig. 50 の赤囲いのように[上下流閉鎖境界]で設定する。

: 時間および繰り返し計算パラメーター
「計算条件」の「時間およに繰り返し計算パラメーター」は、 Fig. 51 の赤囲いのように設定する。自由水面の計算は[しない]に設定する。
設定が終了したら、[保存して閉じる]を押す。
計算の実行

:計算実行中の画面
[計算]→[実行]を指定すると、Fig. 52 のような画面が現れ計算が始まる。

:計算の終了
計算が終了すると、Fig. 53 のような表示がされるので。[OK]をクリックする。
計算結果の表示
計算の終了後、[計算結果]→[新しい可視化ウィンドウ(2D)を開く]を選ぶことによって、 可視化ウィンドウ(2D)が現れる。( Fig. 54 )

: 計算結果の表示(1)
マウスのセンターダイヤを回すことにより拡大・縮小が可能となっている。
濃度コンター表示の設定
オブジェクトブラウザーで、[スカラー][Concentration]にチェックマークを入れて右クリックして、 [プロパティ]をクリックすると、「スカラー設定」ウィンドウ Fig. 55 が現れる。

: スカラーの設定
Fig. 55 のようにスカラーに関する各パラメータを設定し、[OK]ボタンを押す。
パーティクル表示の設定
オブジェクトブラウザーで、[パーティクル][流速]に☑を入れ、[パーティクル]を右クリックして、 「パーティクル設定」ウィンドウを表示させせる。その後、「任意のタイミングで生成」「編集」 「パーティクル」[タイムステップの追加]を選び[0sec]を指定する。 この後、「パーティクルの発生範囲」と「色」「サイズ」を調整して[OK]を押す。 (具体的手順は Fig. 56 を参照)

: パーティクルの設定
計算結果の表示およびアニメーション
「可視化ウィンドウ(2D)」 Fig. 57 でタイムバーをゼロに戻して、[アニメーション]→[開始/停止]で 計算結果をアニメーションで見ることが出来る。

: アニメーションの開始/停止

[計算例 4] 斜面を下る密度流
高密度の重たい密度流が斜面を下る様子のシミュレーション。
計算格子の生成
計算格子の作成はNays2dv専用の格子生成ツールを用いる。 Fig. 58 で[Nay2dv用格子生成ツール]を選択し。[OK]をクリックする。

: 格子生成アルゴリズムの選択
下図の Fig. 59 で赤囲いの部分を設定する。 「縦断形の設定法」を[手動]に、「縦断方向のセル数」を[61]に設定し、 「縦断形」の[Edit]をクリックすると、Fig. 60 が表示される。

: 格子生成: 計算領域
下図 Fig. 60 で赤囲いの部分を設定し、[OK]をクリックすると、 Fig. 59 に戻るので、「水面形」をクリックして Fig. 61 の赤囲いの部分を設定して、[格子生成] をクリックすると、 Fig. 62 が現れ、「マッピングしますか?」と聞かれるので、 [はい(Y)]を選択すると、格子生成が完了する。

: 格子生成: 縦断形の手動入力

: 格子生成: 水面形

: マッピング
初期濃度の設定
Fig. 63 に示すようにオブジェクトブラウザーで、「格子」「セルの属性」「初期濃度」 にチェックマークを付けて「初期濃度」を左クリックして強調してから、初期濃度を設定したい範囲をマウスで 範囲指定し、右クリック「値の編集」で[0.03]を入力する。これにより、対象範囲の色が変わって初期濃度が [0.03]に設定される。

: 初期濃度の設定
計算条件の設定
メニューバーから[計算条件]→[設定]を選ぶと「計算条件」入力用のウィンドウが表示される Fig. 64

: 計算条件:モデルパラメータ
ウィンドウ Fig. 64 の「計算パラメータ」で、 本計算は濃度差による密度流なので、「濃度差による密度」を[考慮する]に設定する。

: 計算条件:濃度の初期条件と境界条件
「境界条件」は、 Fig. 65 の赤囲いのように、「上下流の境界条件」を[上下流閉鎖境界] に設定する。

: 計算条件:時間と繰り返し計算に関するパラメーター
「時間と繰り返し計算に関するパラメーター」は、 Fig. 66 の赤囲いのように設定する。「自由水面の計算」は [計算しない]に設定する。
設定が終了したら、[保存して閉じる]を押す。
計算の実行

:計算実行中の画面
[計算]→[実行]を指定すると、Fig. 67 のような画面が現れ計算が始まる。

:計算の終了
計算が終了すると、Fig. 68 のような表示がされる。
計算結果の表示
計算の終了後、[計算結果]→[新しい可視化ウィンドウ(2D)を開く]を選ぶことによって、可視化ウィンドウ(3D)が現れる。

: 計算結果の表示
「Ctrl」ボタンとマウス左ボタンを押しながらマウスを上下左右に動かすことによって移動が、 マウスぼセンターダイヤを回すことにより、Fig. 70 のような 拡大・縮小が可能となっている。

: 計算結果の移動・拡大・縮小
ベクトル表示の設定と表示
オブジェクトブラウザーで、[ベクトル][Velocity]にチェックマークを入れて、 「ベクトル」を右クリックして、「プロパティ」選択すると、 「ベクトル設定」ウィンドウ Fig. 71 が現れる。

: ベクトルの設定
Fig. 71 のようにベクトルに関する各パラメータを設定し、[OK]ボタンを押す。 メニューバーから「アニメーション」「開始/停止」をクリックすることにより。 Fig. 72 のようなアニメーションが表示される。

: ベクトルアニメーションの表示
濃度コンターの設定および表示
オブジェクトブラウザーで、一旦「ベクトル」チェックマークを外し、 「スカラー」[Concentration]にチェックマークを入れて、[Concentration]を右クリックし、 プロパティを選択すると、「スカラー設定」ウィンドウ Fig. 73 が現れる。 「自動」チェックマークを外し、「最大値」を[0.03]、「最小値」を[0.00]に設定し、 「半透明」のチェックマークを外し、[OK]ボタンを押す。

: 濃度分布の表示
ベクトルと同様に、メニューバーから「アニメーション」「開始/停止」をクリックすることにより。 Fig. 74 のようなアニメーションが表示される。

: 濃度分布アニメーションの表示
パーティクル表示の設定と表示
オブジェクトブラウザーで、[パーティクル][流速]に☑を入れ、[パーティクル]を右クリックして、 「パーティクル設定」ウィンドウを表示させせる。その後、「任意のタイミングで生成」「編集」 「パーティクル」[タイムステップの追加]を選び[0sec]を指定する。 この後、「パーティクルの発生範囲」と「色」「サイズ」を調整して[OK]を押す。 (具体的手順は Fig. 75 を参照)

: パーティクルの設定と表示
計算結果の表示およびアニメーション
「可視化ウィンドウ(2D)」 Fig. 76 でタイムバーをゼロに戻して、[アニメーション]→[開始/停止]で 計算結果をアニメーションで見ることが出来る。

: アニメーション

アニメーションはiRICメインウィンドウ左上にあるプレイボタン等で操作も可能である。Fig. 77

: アニメーション
[計算例 5] 一定勾配水路・定常流量下での下流端水位変動を伴う流れ
感潮河川では、潮の干満により河口水位が上下に振動し、これが河川流に影響を及ばす。 ここでは、単純な水路を想定し、下流端の水位変動を伴う流れの計算を行う。
計算格子の生成
計算格子の作成はNays2dv専用の格子生成ツールを用いる。 Fig. 78 で[Nays2dv用格子生成ツール]を選択し。[OK]をクリックする。

: 格子生成アルゴリズムの選択
「格子生成」ウィンドウが現れるので、 Fig. 79 の「グループ」「河床形状」 で赤囲いの部分を設定する。これにより一定勾配の水路が設定される。

: 格子生成: 河床形状
次に、「グループ」「水面形」を選び。 Fig. 80 で赤囲いの部分を設定する。 これで、初期水面形は水平な条件となる。設定が終わったら[格子生成]をクリックする。

: 格子生成: 水面形
「マッピングを実行しますか?」と聞かれるので[はい(Y)]をクリックする ( Fig. 81 ) .

: 格子生成: マッピング
計算条件の設定
メニューバーから[計算条件]→[設定]を選ぶと「計算条件」入力用のウィンドウが表示される Fig. 82 「流速計算の移流項」は[風上差分]を選ぶ。

: 計算条件:計算条件
「計算条件」「グループ」「境界条件」を選ぶと Fig. 83 が表示されるので、 「上下流の境界条件」は[上下流自由境界]、 「上流からの流量供給」は[与える]、 「単位幅流量」は[0.01]とする。この時、流量を急激に与えると計算が安定しないので、 ゼロから時間をかけて緩和係数で調節しながら増加させる。また、流量は直接与えるのではなく。 上流側の水面勾配を調節しながら所定の流量になるように調節する。 以上より、 「流量補正の方法は」[上流端で水面勾配を補正]、 「流量の緩和係数」は[0.01]、 「所定の流量まで達する時間]は[200]秒とした。
「下流端の水位は」[サインカーブ振動]とし、 Fig. 83 に示すパラメータで 与えた。

: 計算条件:境界条件

: 計算条件:時間およに繰り返し計算パラメーター
「計算条件」の「時間と繰り返し計算に関するパラメーター」は Fig. 84 の赤囲いのように設定すし。設定が終わったら[保存して終了」をクリックする。
計算の実行

:計算実行中の画面
[計算]→[実行]を指定すると、Fig. 85 のような画面が現れ計算が始まる。

:計算の終了
計算が終了すると、Fig. 86 のような表示がされる。
計算結果の表示
ベクトルやスカラー量のコンター表示は前章までの説明と同じなので省略し、ここでは グラフの表示法について説明する. Fig. 87 に示すように、 メニューバーから、[計算結果]→[新しいグラフウィンドウを開く]で、 「データーソース設定」ウィンドウが現れる。

: 計算結果の表示(1)

: データソース設定(1)
Fig. 88 で[Downstream Water Surface Elevation](下流端水位) を選んで[追加]を押すと。Fig. 89 のように[Downstream Water Surface Elevation] が右に移動する。
Z方向の表示を拡大したい場合は、メニューバーから[表示]→[Z方向の倍率]を選んで、( Fig. 89 )

: データソース設定(2)
ここで、[OK]をクリックすると、 Fig. 90 に示すような、 下流端水位の時間変化グラフが表示される。

: 下流端水位の時間変化グラフ
アニメーションの表示
上記説明した「グラフウィンドウ」と、本省では説明を省略した「可視化ウィンドウ(2D)」 を上下に並べて、メニューバーのタイムバーをゼロに戻して、[アニメーション]→[開始/停止]で 計算結果をアニメーションで2つのウィンドウを同時にアニメーションで見ることが出来る。

: アニメーション
アニメーションはiRICメインウィンドウ左上にあるプレイボタン等で操作も可能である。Fig. 92

: アニメーション

: アニメーション
[計算例 6] 一定勾配水路への塩水楔の侵入
感潮河川では、潮の干満により河口水位が上下に振動し、これが河川流に影響を及ばす。 ここでは、単純な水路を想定し、下流端の水位変動による塩水楔の挙動を計算する。
計算格子の生成
計算格子の作成はNays2dv専用の格子生成ツールを用いる。 Fig. 94 で[Nays2dv用格子生成ツール]を選択し。[OK]をクリックする。

: 格子生成アルゴリズムの選択
「格子生成」ウィンドウが現れるので、 Fig. 95 の「グループ」「河床形状」 で赤囲いの部分を設定する。これにより一定勾配の水路が設定される。

: 格子生成: 河床形状
次に、「グループ」「水面形」を選び。 Fig. 96 で赤囲いの部分を設定する。 これで、初期水面形は水平な条件となる。設定が終わったら[格子生成]をクリックする。

: 格子生成: 水面形
「マッピングを実行しますか?」と聞かれるので[はい(Y)]をクリックする ( Fig. 97 ) .

: 格子生成: マッピング
濃度境界条件の設定
下流端において塩水の境界条件を設定する。 Fig. 98 に示すように、オブジェクトブラウザーで「境界条件設定」にチェックマーク☑を入れて右クリックし、 「濃度境界の追加」を選ぶ。その後。下流端の境界エッジに沿って範囲を指定し、終了時 に「Enter」を打ち込むことにより現れる「境界条件」 ウィンドウ( Fig. 99 )で必要な情報を入力し[OK]ボタンを押す。

: 格子生成: 濃度境界の追加

: 格子生成: 濃度境界条件の設定
指定した境界条件を格子情報へマッピングを行う。 メニューバーから「格子」「マッピング」「実行」を Fig. 100 に示すように 選択し実行する。

: 格子生成: 濃度境界条件のマッピング(1)
Fig. 101 のウィンドウが表示されるので「New C_Bound」に☑マーク を入れて[OK]を押すと。

: 格子生成: 濃度境界条件のマッピング(2)
計算条件の設定
メニューバーから[計算条件]→[設定]を選ぶと「計算条件」入力用のウィンドウが表示される Fig. 102 「差分計算方式」は「流速の移流項」も「密度の移流項」も[風上差分]を選ぶ。

: 計算条件:計算条件
「計算条件」「グループ」「境界条件」を選ぶと Fig. 103 が表示されるので、 「上下流の境界条件」は[上下流自由境界]、 「上流からの流量供給」は[与えない]を選ぶ。
「下流端の水位は」[サインカーブ振動]とし、 Fig. 103 に示すパラメータで 与える。

: 計算条件:境界条件

: 計算条件:時間およに繰り返し計算パラメーター
「計算条件」の「時間と繰り返し計算に関するパラメーター」は Fig. 104 の赤囲いのように設定すし。設定が終わったら[保存して終了」をクリックする。
計算の実行

:計算実行中の画面
[計算]→[実行]を指定すると、Fig. 105 のような画面が現れ計算が始まる。

:計算の終了
計算が終了すると、Fig. 106 のような表示がされるので、[OK]をクリックして 計算終了する。
計算結果の表示
ベクトルやスカラー量のコンター表示、水位等のグラフ表示は前章までの説明と同じなので ここでは結果のみ表示する。Fig. 107 は(塩分)濃度コンターと流速ベクトルのア二メーション。

:流速ベクトルと濃度コンター表示
Fig. 108 はベクトル・コンターと下流端水位変動を一緒に表示した動画 である。

:流速ベクトルと濃度コンター表示
参考文献
[1] 清水 康行, 藤田 睦博, 平野 道夫, 山田 正: 網走湖および網走川における塩分密度流の計算, 水文・水資源学会誌/10巻(1997)1号
[2] 清水康行: 密度流の基礎知識と適用例, 第4回iRICオンラインワークショップ資料, 2020年12月22日, iRIC-UC

